能楽鑑賞などなどの記録。
2010黒川能シリーズ6 脇狂言から範頼へと続く

範頼6
(↑「範頼」。)

22時半頃、脇狂言の三本柱が始まりました。

おじさんのお大名と、まだ若い?大人たち3人。1人は高校生くらいだったかもしれません。お大名の訛りが、まのびしてかわゆいです。
黒川能の狂言方は、いわゆる肩衣はつけていなくて、側次を着て、腰帯でしばっています。演技も素朴というか、古風というか・・。囃子歌のメロディは、やはり萬斎さまたちと同じ感じなのでした。

三本柱

続いて、後見が囃子方の床几を舞台に並べ、お調べの音色が・・。
80年ぶりの上演とかいう「範頼」です!
五流では、すでに廃絶されている曲らしい。

囃子方に、クリコお気に入りの『Yっすぃ』も登場して、クリコのテンションも上がります!
ぐふふふ♪、クリコの秘蔵コレクションにしちゃおう・・、とバシバシ写真を撮っちゃいました。(←こういう発想が、いまいちストーカー的である。)

範頼1

範頼2

範頼4
(↑黒川能では、お能の前に囃子方、地謡が神様に向って深々と頭を下げます。)

頼朝はツレ、いつも悪役?の梶原景時はワキという配役らしいです。
シテ方、ワキ方の職掌の区別がない黒川流では、あまり関係ないかもしれないけど。

範頼5
(↑範頼さん)

頼朝とツレたちが登場し、次にさっと幕が上がってシテの範頼が現れると、はっとするような気配があって、とてもいい感じでした。
直面の若いシテがとても緊張していて、その気配が清々しい。黒川流らしい、細い声の謡も綺麗です。

「範頼」のストーリーは、源頼朝が弟・範頼に謀反の疑いを抱いて呼び出すと、範頼は忠誠を誓う起請文など出して弁明します。頼朝が一旦納得すると、範頼は修善寺へ向い、そこへなんと梶原景時の軍勢が討伐のために現れて、範頼は戦った末に自害してしまうのでした・・・というもの。
細かな点は異なっているものの、史実でも源範頼は、義経と同じく謀反を疑われて頼朝に殺されているらしい。
範頼3

お能のほうも頼朝、疑い、起請文・・、と、「安宅」や「正尊」の類曲を思わせる内容なのですが、シテがその場で朗々と起請文を読み上げる、なんていういうのはなくて、地謡の中で謡われていたようです。見せ場は、後場での斬り組と、範頼切腹のシーンでしょうか。

範頼7

後場で長刀を持ち、武装した景時が登場。
囃子の大小も、イキが合っていてよい感じです。
範頼は狩衣の片袖だけを脱いで巻き上げて、半切を着た武将にはちょっと珍しい?スタイル。五流のように、両袖を肩上とかにはしないようです。
シテの緊張した面持ちが、巧まずして範頼の苦渋を表しているかのようでした。真剣な演技がとてもよかった。

範頼8

斬り組は黒川らしく、ちょこちょことした足使いが独特でカワイイ感じなのですが、自決のシーンでのリアルな描写には驚きました。両膝を床につき、刀をすらりと引き抜くと、自らに突き立てる!同時に一度は範頼に撃退されていた景時が、再び揚幕の向こうから飛び出してきて、さっとシテの首のあたりにすがりつく。ワキが刀で首を打ち落とすと、首に見立てた烏帽子を外してシテは素早く退場。ワキはその烏帽子を掲げて、討ち取ったり!と示すのでした。
あの無駄のない動きは、相当お稽古が積んであったんじゃないでしょうか。

範頼9

つづく。


 

posted by kuriko | 23:14 | 黒川能 | comments(0) | trackbacks(0) |
2010黒川能シリーズ5 高砂、続いて中入り

高砂6
※長いです。

19時前に式三番が終って、見所のみんなは一斉にお弁当の包みなど広げて、一気にリラックスモード。(←見所は飲食自由なのです。)・・・クリコはおなかが空いていたので、始まる前に食べちゃってましたケド・・・。なのでミカンなど食べていました。

そんな中でも、しずしずと囃子方が登場して高砂。
『高砂』ということは、今年の当屋頭人は、ご夫婦揃って健在、ということなのだそうです。
脇能らしく、お笛の長い音取から始まる。(というか、黒川能はいつも音取から始まるらしい。)
黒川能のお笛のメロディはわりと直線的な感じで、音取は特に、神さびたような独特の趣きです。

高砂1

囃子方は、独特の辛子色のような裃をつけています。
今年は?どういうわけか、大小の鼓にホントの意味での後見のようなヒトがついており、地謡の並びの囃子方から見える位置で、両手でずっと膝を打って拍子をつけてあげていました。最初は、小鼓のヒトが若かった高砂の時だけかと思ったのだけど、結局一晩中(!)やってあげていて、何だったのだろう。

コドモのワキたちが登場です。ワキは中学生ぐらいで、ワキツレは7、8歳くらいでしょうか。ちびっ子神職です。立ち位置を後見に直されたりしつつ、淡々と始まりました。もちろん、あの指さし構えも健在です!

高砂2

ワキたちが「みやみやみや・・(と、聴こえる)」と謡ってワキ座に着くと、長い囃子事のあとに、まだ10歳くらいの「姥」と、金髪の老人が現れます。小さな当屋の舞台なので、揚幕から出た直線のあたりが、橋掛りとしてみなされているようです。前シテは熊手を持っていました。「サラエ」というらしい。ツレは幼いせいか、何ももっていません。時々絶句するのを、後見?のヒトが、びしびし詞章をつけてあげています。地謡は見本で、前列の向って右端に、地頭がいます。

高砂3

そして例によって、高砂の真っ最中に、暁の使いが舞台に登場。
高砂の進行は無視して(?)王祇様に拝礼し、出発の報告をしています。さらには地謡にも挨拶して、提灯持ちとともに上座の当屋に向けて出発していきました。

高砂4

高砂5

シテの中入りの仕草は、「帆をあげて・・」というような、ソデを広げる型ではないようです。アイ語は、サムライ烏帽子に素襖姿。六ツ目結紋が入っています。アイ語がそれほど訛っていないのは、これが聞き取れないと、お話が分からなくなってしまうからでしょうか・・。

高砂7

後シテは太夫さまの息子さんでした。異国的な印象を与える茶色の面です。その分、目が生々しく感じられて、はっとさせられるというか・・・(この画像では分からないと思いますが)。装束は五流と変りない感じなのですが、冠が独特な感じ。五流のハイスピードな神舞と違って、ゆったり、まったりとした舞を披露します。しかしこれだけ狭い舞台で、延々とくるくる舞い続けるのも大変なんじゃないだろうか。

・・終ったときには、21時を過ぎていました。


中入り1

続いて、中入りです。要するに食事休みの模様。役者さんたちが、舞台の上でお食事を取ります。
お料理は、お豆腐やお漬け物など、昔ながらのもののようです。
見所にも、御神酒やお豆腐の振る舞いがありました。ありがとうございます。
(クリコはお酒はパスです・・。)

ちなみに、色々と読んだり聞いたりしたところによると、いわゆる「精進」は、現在のオフィシャルでは王祇祭の2週間前からはじめるとのことで、お肉お魚はもちろん、タマゴも牛乳もダメ、とのことでした。(ついでに女性も・・。)実際には、当屋で2週間、役者で1週間が相場?のようです。個人の考え方によってしないヒトもいるらしい。コドモたちの学校給食などは、今では大目にみられているとのこと。
厳密に精進をしようと思えば、外食ではお蕎麦一杯食べられないそうで(←カツオ出汁が入っているから)これは確かに大変。体重も落ちるとか。
要するに、お豆腐とか、こんにゃくとか山菜とか、昔ながらのものを食べていればいいらしいのだけど・・・。

中入り2
舞台の上をよ〜く見てみると、王祇様のすぐ隣に当屋頭人、王祇守、提灯持と続き、その左側に能太夫、三番太夫、囃子方・・、右側には地頭、地謡・・と続いて、舞台の上でゴハンを食べるのは、エライ人が中心の模様です。

お食事が済むと、舞台は再び綺麗に拭き清められます。
「調理室」では、裏方の女性が相変わらず忙しそうです。
ちなみに外来者のお弁当(申し込み制)は、タマゴやシーフードぐらいは許してあげよう、という内容でした。

つづく。

この調子だと永遠に終らないので、次回からは少し巻いていきたいと、思います。


posted by kuriko | 23:03 | 黒川能 | comments(0) | trackbacks(0) |
観世会定期能二月

薔薇ですみません。


シテ  高梨良一
ワキ  舘田善博
アイ  大蔵基誠
   
大鼓  大倉栄太郎
小鼓  古賀裕己
笛    藤田次郎
   
地頭  武田志房

狂言
雁礫
シテ  大蔵彌太郎
アド   宮本昇
     大蔵吉次郎

 彩色之伝
シテ  観世清和
ワキ  福王和幸
アイ  大蔵千太郎

大鼓  安福建雄
小鼓  鵜澤洋太郎
笛    松田弘之
太鼓  観世元伯

地頭  野村四郎

仕舞
敦盛   勝海登 
放下僧 谷村一太郎
蝉丸   武田宗和
邯鄲   角寛次朗

須磨源氏
 
シテ   寺井栄
ワキ   宝生欣哉
アイ   大蔵教義

大鼓   安福光雄
小鼓   亀井俊一
笛    藤田朝太郎
太鼓   三島元太郎

地頭  坂井音重


イヤー、今日は正直なところ、キヨの美しさに改めて感じ入ってしまいました。
ワキなども大人で大変立派だし(当たり前だ)、やっぱし黒川流も五流のお能も、どちらもいいですな。
おほほほ。(←お調子者のクリコ。)

巴。

これも大変面白かったというか、切ないというか・・のお話なのですね。
前場では、しっとりとした感じの里女だったのだけど、後場ではキリっとした女武者の姿に。唐織を壺折に着て、赤い大口に黒の烏帽子、手には長刀です。
義仲は死後、神となっていても、巴の執心はその周辺を彷徨っているのでしょうか。
夢幻能なので(?)当然といえば当然なのですが、目には見えない義仲の存在が、巴の仕草でありありと観えるようです。床几に腰掛けて、義仲の馬が泥に沈んでしまった様子を現すのも、なんだか非常に具体的。だけどシテは女性なので、偶然かもしれないけど、やり過ぎない感じがとてもいい。

女なのだからお前は行け、と言われるのもショックだろうけど、敵を倒して戻ってきたら、義仲さまは自害したあと・・というのもショックだったろうと思う・・。正先に居る、みんなからは観えない義仲をひたすら見つめる巴御前。淡々とした感じの、上品な所作なのだけど、がが〜ん。。と落ち込んだ暗さがある。
武装を解くために、シテ自らが一つ一つ、刀や烏帽子を舞台に置いて、形見の衣を羽織って(これは所作だけ)、同じく形見の小太刀を大切そうに抱えて立ち上がり、寂しそうに去っていくのでした・・。

梅。

これは、クリコがと〜っても楽しみにしていた一番でした。
観世元章作。

ワキは村瀬純に代わって、福王和幸でした。配布された番組もちゃんと変更されていましたが、松涛の能楽堂では見慣れない、若くてキレイな人の登場に、見所は一瞬びっくり、という感じです。
ワキツレには提と慧。謡も堂々として、なかなかカッコいい三人組です。

正先には、白梅の木の作り物が出されていました。
難波の浦の景色を見に来た和幸が、なんとなく大伴家持の和歌を口にして、その花はまだ蕾だけどね・・と呟くと、元祖・美青年である本日のおシテが(←いや、元祖は世阿弥か?)、例によって待たんか〜い!と声をかけてきます。その歌は二月に詠まれた歌だから、梅の花についての歌なんだよッ!というわけです(実際には、もっとお上品に)。
滔々と論理的に述べるあたり、いくらか気が強くて理屈っぽいものの(笑)、今日もキヨは、本当に匂い立つように美しい。白梅を意識してか、高雅な印象の白地の唐織です。
さすがに和幸も、「そ、そうですよね。。」という感じで納得です。そんな貴女は誰なのですか、と訊かれても「誰だっていいじゃん」とキヨ。この後のアイ語りで、梅の木が自分の姿を見てもらえて嬉しかったのでしょう、みたいな事を言っていたから、ツンデレなのかもしれません。

中入りとなってアイ語りも済むと、正先の梅の立ち木は後見が揚幕の向こうへと、引っ込めてしまいました。どうやら、あの梅の木はシュワシュワシュワ・・と小さくなって、後シテの天冠の上に載っかっていた模様です。これから登場するのは梅の精なので、それがよい処置なのかもしれません。

後シテは白い長絹に薄いオレンジの大口、天冠には白梅です。一点の曇りもないというか、非の打ち所がないというか。とにかく美しい。ワキがびっくりしていると、梅の精だし、決まった姿はないけど、その時々に応じた姿で出てくるのよ・・なんてシテが応えていました。大らかなことです。誰が舞を囃すのか、と訊かれれば、神の掟のままに、松の枝が風に揺れて琴となり、蘆が笛吹き、波の音が覆槽の音・・・っていうのは、桶を叩く音らしいです。天鈿女命も、オケの上に乗って踊ったらしいし。

梅の花は美しいだけでなくて、その果実まで役立つのだ、と自ら宣伝する梅の精。「美てふ言(ンマチョオゴト)」が、「梅(ンメ)」の名の由来なのだよ、とさりげなく(?)作者の言語学的知識もアピールしています。
桜ではなくて、梅がモチーフとなっているのも、古代では桜よりも梅が好まれたことを意識しているのでしょうか。(ちなみにクリコも梅派です。匂いがいいから。誰も訊いてないけど・・。)

この辺りで、クリコはちょっとウトウトきてしまいました。エヘヘ、ごめんよ。いや〜やっぱし、キヨの声を聴くと安心するっていうかぁ〜♪(←妄想&単なる言い訳です。)

序の舞ではばっちし目も覚めて、本当にうっとりしてしまいました。弘之のお笛も、相変わらす素晴らしい。足拍子も静かに、かつ余韻が心地よく響きます。梅の香が、辺りに満ち満ちるイメージでしょうか。
「花咲き」の謡でまさしく花開くように両手を広げ、これ以上はないというぐらい綺麗にオーラを全開にして、なんと「実を結び」では、うふっ♪てな感じで、両袖でお腹を隠すようにして、ふんわりと丸くなって下居します。「あなた(←和幸?)、私、赤ちゃんができたの・・・」みたいな?!あるいは、自ら梅の実になったのか?!どちらにしてもこの梅の実、ころん。みたいなところは、キヨらしくてとっても可愛いかったです♪

とにかく大満足な一番でした。


※須磨源氏はパスしました。すみません。。。
※黒川能シリーズは、このあとも続きます。

posted by kuriko | 22:33 | 能・狂言 | comments(0) | trackbacks(0) |
2010黒川能シリーズ4 式三番、と世田谷でのことなど。

※くどくて長くて重いです。

続いて式三番。

面箱持ちを兼ねた千歳と、翁太夫の登場です。見所はざわざわしているものの、舞台上の役者たちは厳かな雰囲気。
式三番1
(↑登場したところ)

太鼓は大地踏とともに去っており、大地踏からそのまま残った小鼓三人が いやー よぉー えいやー と独特のまったりとしたリズムで囃します。(大鼓はまだ登場していない。)

とうとうたらりら・・・と、太夫さまがいくらか細めの声で謡いだす。黒川能では、総じて大きく太い声を出すということにあまり関心がないみたい。基本的に室内楽だからでしょうか。
謡には訛りが強く、正直なところ聴き取りづらい。母音を一語一語高く引き伸ばして、独特の節になっています。同時にそれが、黒川能の音楽性の高さ(?)ともいえて、言葉がメロディを邪魔することが決してないのですね。(→庄内弁は、フランス語に似ているとかいうし。。。)

式三番2
(↑下座・上野由部太夫)

千歳の舞のほうは、足の使いかたなども本当に独特。
基本的に足を高く上げるような、跳躍的なことは一切しません。代わりに、だん!だん!だだっ!みたいな、床を使った効果音(足拍子)が得意というか。

式三番3
(↑千歳が舞っているところ。)

千歳が舞っている間に太夫さまは面をつけて、やがてゆったり舞いだすのですが、この面をつける際にも必ず「扇」が介在していて(面を一度扇に載せる)、不思議です。

式三番4

翁は舞い終えると、面を外しそのまま舞台を去ることになります。小鼓の頭取が、ちらっと揚幕のほうを振り返って、翁太夫の歩みを確認していました。(後見がいないのでね。)

式三番6
(↑これは面を外しているところです。手前のヒトは蝋燭当番で、あまりカンケーありません。)

入れ替わりに、三番叟と大鼓も登場です。

三番叟は、独特というより別世界の趣き。お祭り囃子を思わせる(というかお祭りなんだけど)伸びやかなお笛の音色に乗って、小鳥が地面に降り立って、飛び跳ねて遊んでいるかのようです。
カラス跳びもえいっ!えいっ!と大地に踏ん張るようにして、ことさらに高さを示すようなことはしません。


式三番7
(↑踏み始めるところ。)

式三番8
(↑エイ!エイ!・・・より反閇っぽい感じなのかなぁ?)

続いて黒式尉の面をつけて、鈴の段です。ここでも千歳がアドの太夫の役割を果たします。しかも、周囲に聞こえないように(!)、お互い無声の対話をするのです。お口の中で、何かをぶつぶつと、微かに唱えているみたい・・・?そしていきなり「さらば鈴を参らしょう」となる。

式三番10
(↑秘密の対話中。)
式三番9
独特のリズムの舞も力強く、鈴で種まく仕草をするところは、本当に大地に顔をつけんばかり。三番太夫(←三番叟をするヒト)もこなれてきたのか(笑)、舞も非常に綺麗です。
黒川能では、三番叟はいわゆる狂言方ではなく、舞方の家柄のヒトが行うそうで、なにやら中央の能楽とは一線を画したものがありそうです。

式三番12
(↑鈴の段)

ちなみに三番叟が踏んでいる間、千歳はずーっと片膝たてて座っているのがひじょ〜に辛そうでした(笑)。
三番叟、千歳につづいて、囃子方も深々と一礼して舞台を退くのだけど、大鼓以外は床几がないので、みんな足をしびれさせて(笑)!すぐには立てない(笑)!黒川能では大鼓は指革をつけないので、わりと可愛らしい音です。
式三番13

皆さんご存知の通り(?)、先月末、王祇祭の直前に世田谷PTで、萬斎さまや源次郎左衛門や、広忠のオシャレ(?)でカッコいい三番叟を観てきたのですよね。うふっ!クリコ来週は黒川能なの♪などと、これから自分が感じるであろうギャップを予想して、わくわくしていたのでした。
こちらはもちろん極めて都会的といいますか、洗練されきっているといいますか、注連飾りがワイヤで吊るされて、電動でうぃーんと降りてきそうな(←別に皮肉な意味ではありません)三番叟でした。
しかもその後に、中沢新一や杉本博司みたいな超有名文化人が出てきて、三番叟に関して感想と薀蓄を披露する、みたいな。まぁ黒川能も、文化人たちが発見(?)して勝手に持ち上げた、みたいな側面もあるとは思いますケド。。。これだけ違うと、ギャップとか、そういうものでもないですな。よくぞこれだけ、それぞれの道を進んできたなぁと。

式三番14
(↑腰帯の先が「ハの字」になっているのは、古態だそうです。)

posted by kuriko | 23:11 | 黒川能 | comments(0) | trackbacks(0) |
2010黒川能シリーズ3 大地踏

王祇様。

下座の大地踏は、女性を表しているそうです。
黒の振袖に赤い側次を着て、黒い烏帽子に赤い鉢巻をしています。長い髪の鬘もつけていたのですが、これは途中で本人が嫌がったので、取られてしまいました。おかげで構造が分かったのですが、鬘というより『エクステンション』という感じです(笑)。

大地踏1

大地踏が始まる前に、下座の大提灯が王祇様の前に動かされたりしていたのですが、裏方のヒトや地謡からも、ほうぼうから「もっと前」とか「***」(ヒアリング不能)とか注意がびしびし飛んできて、提灯持ちはいささかパニック気味(笑)。見物客の世話役の人に聞いたところによると、昔は街灯がなかったので、「提灯持ち」の存在は重要だったそうです。

一生に一度です。

当屋頭人が、舞台上で恭しく王祇様に礼拝。
そしてついに王祇様が扇の形に広げられ、「大地踏」が始まります。
稚児が舞台上で反閇をして、大地の悪霊などを鎮めるらしい・・。

大地踏くん、たどたどしいながらも、立派に大役を果たしていました。
・・・というか、大人の感傷やら入れ込み具合やら、そんなものは一切関係なく、我関せずといった調子でノビノビ(笑)勤めていました。

大地踏4

見所では、大地踏くんの妹ちゃんが鼓の音に驚いて目を覚まし、「びゃ〜」と少し泣いて、おばあちゃんがあやしています。囃しているのは、笛、大鼓と小鼓が三人。「お母さん」とおじいちゃんも、舞台の側でビデオカメラなど構えています。

王祇様は再び棒状にまとめられ、続いて「言口」です。この時に、大地踏くんが鬘をイヤがって、後見に取ってもらっていました。烏帽子もだいぶん大きいらしく、ずり落ちそうです。。長く難しい詞章を4歳の大地踏くんが、マイペースながらも(笑)きちんと暗記して唱えています。「東西なり高ふして 寺尾山の御祝に・・」

大地踏3

続いて「幣の段」「禰宜」「太刀の段」と続くのですが、「太刀の段」では、大地踏くんの刀が舞台そばの蝋燭にぶつかりそうになるのを「お父さん」がフォローしたり、その蝋燭の火をふーっと吹いて、後見を慌てさせたり(笑)。好き勝手にやっていて、これまた可愛いかったです♪

大地踏2

大地踏が済むと、保存会から感謝状や記念品、ミカン一箱♪などもらって、再び後見にお姫様だっこされて、大地踏くんは去っていきました。

つづく。

posted by kuriko | 23:58 | 黒川能 | comments(0) | trackbacks(0) |
2010黒川能シリーズ2 小さな子、始まりのはじまり。

今年の冬景色
※すっごく長いです。

新潟駅近辺では、雪らしきものはまったくありませんでした。
特急「いなほ」に乗り換えてからは、車窓からは冬枯れた寂しい景色と、荒れた日本海・・。遠いところに来たなぁ、という感じです。鶴岡駅についても、駅前にはいかにも「申し訳」ぐらいの雪しかなく・・。ちょとがっくり。。雪がないほうが、何かと都合もいいのですが・・。
タクシーで王祇会館までいくと、さすがに市街地よりは雪が残っていました。ちなみ今回のタクシーの運転手さんは、往復とも、無口なヒトでした・・。

受付を済ませると御神酒をいただいて、上座・下座両方(!)の凍み豆腐のお椀をいただく。上座と下座では味付けが違うらしい。山椒の味はクリコも好きなのですが・・、すみません、ちょっと残してしまいました。とにかく非常に噛み応えがあり、独特な味です。

そして着いた早々、月扇堂さん、ヨウダさん、「しばがき」さんにお会いする。
イヤーびっくりびっくり。どうもどうも。なかなか濃い顔合わせです(笑)。

保存会の方のレクチャーを聴いてから、上座・下座のそれぞれの当屋に向けて出発するのですが、説明役のおじさんが、最初はがんばって標準語で話されていたのが、段々と「そうなんですの!・・・そうなんですの!」(←奥様言葉ではなく、庄内弁のほう)になってきてカワイかった。


神宿を示すこの旗が。


下座の当屋は、3年前と同じ「公民館」でした。王祇様も当然、すでに舞台に鎮座しておられます。
今年の王祇祭に間に合うように改修されたとかで、なんとなく全体的に新しくなったような・・?楽屋なども増築されたそうです。あ、舞台の天井が!「鐘巻」の鐘が吊り上げられるようになってる!
今年は、両座とも「公民館」での上演で、見物客の収容キャパシティも相当あがったようです。

役者さんたちは舞台上で膝前に扇を広げ、代わる代わる王祇さまに拝礼しています。

太夫さまも登場。

太夫さま

以前拝見したときは気づかなかったのですが、扇を広げて神様を拝むのは、「狂言」で観られる神仏を拝む仕草と同じなのですよね・・。中世ふうなのでしょうか。

下座の王祇様は、立って鎮座されています。
(上座では、横向きに安置されるそうです。これにも深い意味が、あるとかないとか。)

こちらが王祇様。

すぐそばには、当屋頭人をはじめ、王祇守や提灯持ちの人が控えています。舞台に橋掛りはなく、簡素な揚幕で、楽屋に続く廊下へと仕切られているようです。

そして、あ〜っ!ナマ「お父さん」がいる!そして今年の大地踏の子も!!

これから神のお使いに

・・・実は〜、この大地踏くんのお母様が、blogをなさっているのですよ!
クリコもちょこちょこ覗かせてもらっています。。。(←なので「お父さん」のお顔も分かるのです。)
最近は、黒川の直球ど真ん中のヒトたちも、それぞれblogをなさっていて、着々と進む準備の様子など、本当にワクワクしながら読ませていただきました。
大地踏くんは、お写真で見るより、すっごくちっちゃくてカワイかったです♪そして退屈しているのか、大人たちから呼ばれても、呼ばれても、舞台の上をちょろちょろちょろ・・。そのたびに手には、お菓子を持っていたりとか・・。可愛い。

役者さんたちは、紋付に袴姿だったり、段袋(←ダップラというらしい。ズボン状のもの)だったり・・。徐々に地元のヒトたちも集まってきて、段々と見所はぎゅうぎゅう詰めになってきました。
舞台の壁のほうを見回すと、王祇祭のための奉納を記された紙や、「王祇祭下座若勢衆役割分担」なんてものも貼り出されています。きっちり体制が決まっているようです。みんな頑張っているんだね。

あ〜っ!大地踏くんの、弟くんたちも登場です!かわいい〜!
4歳の彼よりも、さらにちっちゃいのですお〜。
あ、生「お母さん」もいる!!「お母さん」もかわいい!!綺麗な方です!!
(←段々と、ただのヘンタイになってきているクリコ。)
大地踏くんのおじいちゃんおばあちゃん、そして妹ちゃん(←まだ赤ちゃんなの♪)も集結の模様です。・・そう、今年の大地踏くんは、な〜んと4人年子なのです♪

17時45分頃、舞台を囲む大蝋燭に、火が灯されます。
竹の筒に入れたお塩を蝋燭の上に盛って(?)、ロウが垂れないようにしているようです。

お塩を盛っています。

18時。地謡、囃子方たちがしずしずと舞台に登場します。鼓は恭しく、カッコよく高く掲げられています。
そして後見にお姫様だっこされて、大地踏くんも登場です!

つづく。


お顔を隠して

 

 

posted by kuriko | 23:06 | 黒川能 | comments(4) | trackbacks(0) |
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