能楽鑑賞などなどの記録。  
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銕仙会七月定期公演 (その1)

西王母
シテ     長山桂三
子方     長山凜三
ワキ    福王知登 (代演)
ワキツレ 村瀬提
      村瀬慧  (代演)
アイ    河野佑紀

 

大鼓   亀井実
小鼓   田邊恭資
笛     杉信太朗
太鼓   林雄一郎

 

地頭   清水寛二

 

狂言
文荷
シテ   野村万蔵
アド   野村萬
      能村晶人

 

善知鳥
シテ   大槻文藏
ツレ   馬野正基
子方   谷本康介
ワキ   殿田謙吉
アイ   野村虎之介

 

大鼓   亀井忠雄
小鼓   大倉源次郎
笛     一噌庸二

 

地頭   浅見真州

 

※2016年7月8日(土) 宝生能楽堂にて。

※最初にアップしたとき、「西王母」のワキのお名前が間違ってました。スミマセン。。

 

 

というわけで、銕仙会に行ってきましたぁ〜!

 

この日は「西王母」「文荷」「善知鳥」という番組だったのですが、なんていうか番組が面白かったな〜と思う。

 

「西王母」の曲中に出てくる桃の実が、どこか遠くにある桃源郷、永遠の生命力の象徴だとすると、「善知鳥」はその対極にあって、生きんとするがために殺生をして、地獄に落ちる・・というお話。

 

「西王母」が天上だとすると、「善知鳥」は地獄、その中間に狂言の「文荷」が入って、人間たちが他愛のない?ことで楽しく騒いでいるのでした。もちろん、五番立てだった場合は、さらにイロイロな森羅万象が登場していたわけですが・・。

 

さて「西王母」ですが、引立大宮の作り物が出され、中国ふうの出立ちのアイの狂言口開、つづいて荘重な囃子のなか、周の穆王が臣下を引き連れ登場します。

 

う〜ん、この穆王は、なんだか若いなぁ〜という感じで、あまり王様の風格を感じさせません。「ぼく、王!」という感じです。(←すみません、シャレです。)
しかしミョーに声が張っているので、なんだかそれがアンバランスで大根的な雰囲気に・・・(余計なお世話)。

 

そこに一人の女性が現れます。

 

金ピカの着流しに、手には桃色の花の枝・・。もちろん天女の出で立ちでもないのですが、一般人(里女)にもぜったい観えない。

(今回は前場にはツレの侍女は出ず、後場のみでしたが、前場から侍女がつく場合もあるらしい。)

 

一声の謡、「桃李物言わず下おのずから・・・」と聴いていて、おお、これは司馬遷の「史記」の・・・とすぐにピンときた人も多かったのではあるまいか(いや少ナイ?)。そう、松坂桃李の命名の由来となった一節として有名ですよね!
https://web.archive.org/web/20100215163904/http://ameblo.jp/torimatsuzaka/entry-10213934521.html

 

そして印象的だったのは、全体を通してでもあったのですが、その謡声があえて茫洋とした、ホンワリとした趣になっており、憂いの全くない、陰翳のない仕立てとなっていたこと。。面白いことに、美しい「増」の面も、この日は冷ややかな印象はあまりなく(遠目には)、非常に上機嫌なように観えました。

 

その女性の正体は西王母という女神なのだし、当然といえば当然ですが、ちょっとおめでた過ぎたかもしれない(笑)。でもあんまり重々しいのも、確かに桃々しい感じがしないし・・・。「鶴亀」と似た印象もあるのですが、ちょっと変わった展開の曲で、脇能で女神がシテ・・というのも、なかなか難しいようです。

 

口開と同じアイが、再びアイ語り。中国ふうの出立ちの、「赤い羽根共同募金」みたいな羽根が帽子のてっぺんにチュン。。と刺さっているのは、あれはただの飾りなのでしょうか。

 

後シテは女神の出立ちで、天冠に鳳凰の立テ物、同じく鳳凰?模様の白の舞衣にオレンジの大口。太刀を携えているところに、女王らしい威厳というか、強さを感じさせます。その後ろにちょこん。。とついてくる、桃の実を携えた凛三の侍女姿が可愛らしい。

 

その西王母が、自ら皇帝に桃の実を捧げる。不老不死は、すべてを手に入れた中国の皇帝たちの見果てぬ夢ですわね。

 

そしてシテが舞も披露するわけですが、ここは本当に美しく素晴らしかったけれど、さすがにまだ舞台に横溢する生命感というか、振り撒かれる祝祭性とでもいうか、そんな境地には至っていない・・気がした。能役者が個人の資質と内的なモチベーションだけで、舞台を立ち上げている、そんなガンバリが良くもあり、悪くもあり、でしょうか。他に何があるちゅうねん、と言われると、私もよく分からないんですケド・・☆

 

短い曲だけれど、「西王母」のような曲は、逆に難しいのかなぁ〜??三番目物というか、鬘物に連なる日本の女神たちに比べると、文字通りのゴッドマザー西王母はちょっと、スケールが違い過ぎるところがあるのかもしれません。

 

つづいて狂言「文荷」。

 

萬(主人)がボーイズラブ☆のお相手にお手紙を書き、それを太郎冠者と次郎冠者に届けさせることに・・。

 

主人役は、そこにはいない態で舞台にずっと座っているのですが、マジメなお顔で座っている萬の前で、そのラブレターを太郎&次郎冠者が開けてしまい、読んで大笑いしているところがミソ。しかもオマエが持て、イヤだ、となるあたりは、もうほとんど小学生男子で可笑しい。

 

お手紙を吊り下げた細い竹杖を、万蔵が舞台に捨てる時に、コロコロっと後見に直に返すように上手に転がしていて、次の「善知鳥」でも文蔵が似たようなことしてたんだけど、今はそういうのが流行ってるの?

 

お手紙は結局破けてしまって、最後に萬に怒られてお仕舞い。

 

 

(短いですが、その2へとつづく。)

 

posted by kuriko | 00:53 | 能・狂言 | comments(2) | trackbacks(0) |
コメント
クリコさん、ワキの名前、元のままになってるよ。
2016/07/14 11:46 by Oscar

すみません、ありがとうございました(^^;)
2016/07/15 00:55 by クリコ
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