能楽鑑賞などなどの記録。  
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第34回 テアトル・ノウ 東京公演 (その1)

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三笑
シテ   味方玄 (代演)
ツレ   河村晴道 (代演)
     味方團
子方   谷本悠太朗
アイ   野村太一郎

 

大鼓   亀井広忠
小鼓   成田達志
笛     杉信太朗
太鼓   小寺真佐人 (代演)

 

地頭   観世喜正

狂言
舟渡聟
シテ   野村万作
アド     中村修一
     高野和憲

 

仕舞
屋島   観世淳夫
花筐   片山九郎右衛門
天鼓   観世喜正

 

替装束
シテ    味方玄
ワキ    宝生欣哉
ワキツレ 則久英志

      梅村昌功
アイ    高野和憲

 

大鼓    亀井忠雄
小鼓    大倉源次郎
笛      一噌隆之

 

地頭    片山九郎右衛門

 


※2017年7月22日(土) 宝生能楽堂にて

 

 

というわけで、テアトル・ノウに行ってきました〜!

 

いやこれが、シズカすごかったです・・!正直に言って感動した(笑)。ズーシーさすが!と思ったね(笑)!

 

で、まずは「三笑」から。

 

事前の予告では「三笑」のシテ・慧遠禅師は、シズカPapa健の予定だったのだけど、「少し体調不良のため」とのことで、シズカがシテに。親子三人の演能になるかと思っていたので、これはちょっと残念。ご本人も残念だろうけど・・。

 

それに舞囃子ではしばしば出るけど、「三笑」をちゃんとした能形式で観るのも久しぶりという気がする。藁屋の作り物が笛座前あたりに出され、狂言口開で始まるらしく、「赤い羽根共同募金」みたいな羽根を可愛い御帽子にピョコンと差した、チャイニーズスタイルの太一郎の登場です。

 

慧遠禅師の人となり等話していたのだけど、ちょっと面白いなと思ったのは、太一郎って、お顔も声もおとんにそっくりなんだけど、その声で、いくらか萬斎さまふうに色気(?)をつけた張った声の発声になっていて、故万之丞と萬斎さまのハイブリッドみたいな現象が起こっていたこと。これは今後が楽しみになりそうです。

 

そして作り物の引き廻しがパラリ・・・と落とされて、シテがその姿を現します。

 

晋の慧遠廬山の下に居して 三十余年隠山を出でず・・・

 

と、早速に『ばば〜ん!私です!』とでも言うような、凄みのあるシズカの謡。ただ座っているだけでも、湖のような量感のある素晴らしい存在感で、思いがけずシズカ独演二番能にもなって、気合のほどを感じさせます。

 

慧遠禅師(シテ)は、廬山に登って隠遁生活を送り、30年あまりの間、麓の虎渓を超えることはなかったそうな。そこに、陶淵明と陸修静、子方を連れた友人たちがやってきます。子方を出すのは観世流では替えの演出らしいのですが、じ〜さんばかり三人の舞台に、可愛らしい子供がいるのはお互いが引き立ってイイですね。

 

子方は「唐子」とのことで、手には花をもち、着付に小袖を腰巻にしたような出で立ち。おじいさん3人はそれぞれに中国ふうの出で立ちです。

 

岩に腰かけ、滝を眺めつつ語らうオレたちサワヤカOld Boys...というわけで、陶淵明は官僚になったものの、八十日ほどで職を辞して田舎に隠棲し、陸修静は信心深い人物で、彼もまた陸道士と呼ばれた隠者なのだとか。

 

子方が中国ふうにひょうたんでお酌してまわり、ひとさし舞って花を添えると、興を誘われ老人たちも舞い始めます。子方がキリっと凛々しい若葉のような舞だったのに対して、ゆっくりと、楽しげに。というか、唐扇でもやっぱり盃の代わりになるんだななぁ。。

 

そういえば、幽雪も舞囃子で「三笑」舞ったことがあったなぁ、と思い出す。って、私、このとき実は結構眠くなってたんだけど・・。エヘヘ、ごめんなさい。

 

三人は大いに盛り上がり、酔った勢いで続けて橋掛かりへ。そしてそこで、「あんさん、虎渓出てしまいましたやん」(関西弁)となって、どっと笑う。この時の表現は、もちろん狂言とは違うので、笑い声は実際には出さず、三人して唐扇と袖を両手で楽しげに振る。

 

三十年守ってきた誓いを我知らず破ってしまっても、それを爽やかに笑い飛ばすこの飄逸と恬淡。まさしく水墨画の世界だったのでした。

 

続いて「舟渡聟」。

 

もちろん万作が「船頭で実は舅」役だったのですが、軽妙な笑いを取る演技の合間に、万作の荒い息が聞こえてきて、気魄と踏ん張りを感じさせる。舞台にかける執念というか。

 

それに船頭が、そうとは知らずにムコからお酒をせびる時に、ばさっ!といとも簡単に棹を舞台に捨てるのだけど、これが本当に自然に何の気なしに捨てていて(そしてまた拾う)、もう棹も舟も身体の延長線上にあるんだろうなと、船頭としてのキャリアも感じさせたのでした。・・・まぁ、また途中から(半分)寝てたのですが。。。

 

続いて、仕舞もあり、あっつん、なにかちょっと変わったなと思ったら、以前よりは謡のすっぽ抜け具合がマシになったのカモ。ちょっぴりだけど・・・。

 

そして、いよいよ「巴」です・・!

 

欣哉たち木曽からやってきた旅の僧がまず登場。都見物のため、琵琶湖のほとりへとやってきます。

 

アシライの囃子で、静かにシテも姿を現す。今回、「替装束」の小書がついていたのですが、現れたシテに、まず、おお。と思ったのが、真っ白な水衣姿だったこと。その下には、地味な縫箔でしょうか。ふわふわと、漂うように橋掛かりを進んで行きます。

 

「巴」という曲は、実は古いタイプの能で、他流では巫女に巴御前の霊が憑いている・・という設定のものもあるそうな。白い装束はその巫女にも観えるし、義仲をいまだ想って漂う巴御前の人魂のようにも観える。素晴らしい滑り出し。

 

シテは一の松あたりにたたずみ、粟津原の神社の神前で、一人涙をこぼしています。これにワキ座辺から素早く反応するのが、ワキ僧です・・・!不思議やな・・・と、涙する女性に声をかけます。旅心と好奇心。そんなキャッチフレーズが作れそう。

 


(その2へとつづく。)

 

 

posted by kuriko | 01:14 | 能・狂言 | comments(9) | trackbacks(0) |
コメント
クリコ様

シズカさん、懐かしい!(私的には)
テアトル能、昔々に観たことがあります。「二人静」(洒落?)でした。
可憐な外見に豪快な演技。観世宗家と同じですね〜。
当時は若手でしたが、今が一番脂が乗ってる時期でしょうか?久々に観てみたいです。
相変わらず、河村晴道さんと一緒にやっていて、仲がいいんだなーと思いました。
2017/07/29 23:00 by あゆか
あゆかさま

今のシズカさん、ちょっと、かなり、スゴイですよ(^^)
も〜、鰻か鰹かラーメンかっていうぐらい脂ノリノリです♪

清和さんがもっと九郎右衛門家寄りになっていたら、シズカさんふうになっていたかもしれません(?)。

是非々々その目でお確かめ下さい☆
2017/07/31 00:30 by くりこ
クリコ様

>是非々々その目でお確かめ下さい☆

では早速…と調べたところ、観に行けそうなのが、「玉井」、「俊寛」、「鷹姫」(&宗家の「松風」)でした。
どれも未見なのですが、クリコさんのおすすめはありますか?
2017/08/01 23:07 by あゆか
あゆかさま

え、マジっすか・・・(^^;) (←勧めておいてこの反応)

能の会として断然お得(?)感があるのは、キヨ太郎の「松風」も出る「鷹姫」かと思います。
でも玄さん目当てだと、玄さんが鷹姫役なら意外と出番が少ないカモしれません。「鷹姫」自体は新作能ですが面白いですよ。
(好みにもよりますけど・・・(^^;)

「玉井」は、賑やか(?)で分かりやすい曲ですが、ちょっと長い印象があります。「シズカで満腹」コースならこちらかな〜とw。

「俊寛」は歌舞能ではないので、玄さんがなさるのは興味深いですが、ちょっと地味ですかね。。演劇的に面白い曲だとは思います。

あらすじ等事前に確認なさって、ピン☆と来るものをチョイスされるのがオススメです(^^)
2017/08/02 00:36 by くりこ
クリコ様

詳しく解説していただきありがとうございます!
全部観ているとは…流石です!!

楽しそうなのと、早くシズカさんを観たいので、「玉井」にしました。(9月9日の京都観世会例会です)脇能なのに、派手派手ですね〜。
20年ぶりのシズカさん、成長したどころじゃないでしょうね。(お能は学生の時にちょっとだけ観ていました)
また感想などお知らせさせていただきます。
ありがとうございました!
2017/08/04 23:09 by あゆか

>全部観ているとは…

お能って、結局、よくかかる演目は少ないんですよね(^^;)

9月なら、夏の京都の暑さも少しはやわらいでいるでしょうか。
お気をつけていってらっさいませ〜(^^)
2017/08/06 11:09 by くりこ
クリコ様

何度もすみません(汗)

ありがとうございます!
京都は、暑さはともかく、あの人の多さが…。

>よくかかる演目は少ないんですよね(^^;)
そうですねえ。思い出せるものだけだと、20番くらいしか観てませんが、「道成寺」は3回観てます。特に好きな曲でもないんですが。

ところで、前述の観世宗家の「松風」は10月にあるんですが、11月に友枝さんもされるんです。両方観て比べてみたいな〜と思ったり。
けど、チケットが取れませんかね……。
クリコさんは友枝さんの「松風」観に行かれますか?
2017/08/07 22:21 by あゆか

へ〜、友枝さんが「松風」されるんですか。舞い納め的な?感じですかね??ちょっとイメージになかったです。

観世流と喜多流では、かなり行き方が違っていた印象がありますが・・。

>クリコさんは友枝さんの「松風」観に行かれますか?

う〜ん、行かないと、思います(^^;)

友枝さんのチケットも、お弟子さんになるか、電話の前でずっと正座して頑張ればとれるのでしょうケド・・・。

トシですかねぇ、おほほほ・・・☆
2017/08/09 00:18 by くりこ
>舞い納め
ええええ縁起でもない!!
…でも、友枝さんは自分が納得のいく演技が出来なくなったら、きっぱり引退するんでしょうね。
追っかけ(?)始めたばかりなのに。はあ…。
友枝さんといえば、本三番目物と思っていますが、「松風」よりも「井筒」のイメージでしょうか?
個人の会は、特にお弟子さんが優先ですよね。取れても、一般の人にはいい席は残ってないかもですね。…なるべく頑張ります。

トシをとると、自由席がきついです。昔は、嬉々として席取りしてたものですが。
2017/08/09 23:19 by あゆか
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